人生を変える一冊「表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬」
この記事を書いたライター
山田 純 (やまだ じゅん)
年齢: 35歳 職業: 書店員
日常に疲れたあなたへ 若林正恭と旅する異国の風景
この本は、人気お笑いコンビ・オードリーの若林さんが、キューバ、モンゴル、アイスランドを旅した記録と、そこで得た気づきを綴ったエッセイなんです。
最初にページを開いた時、僕はもう若林さんの世界に引き込まれました。若林さんの正直で飾らない言葉で綴られる旅の風景は、まるで自分がそこに立っているかのような臨場感がありました。
キューバの革命博物館で見たカストロやゲバラの革命への情熱、モンゴルの大草原で出会った遊牧民の家族の穏やかな笑顔、アイスランドの雄大な自然の中で感じた人間の小ささ。どのエピソードも、若林さんの感性を通して鮮やかに描かれていて、まるで一緒に旅をしているような気分にさせてくれるんです。
ハバナの野良犬が教えてくれた。本当の豊かさとは何か?
特に印象的だったのは、キューバのハバナで若林さんが見た野良犬の姿です。
カバーニャ要塞で、一番記憶に残っているのは一匹の野良犬だった。真昼間の炎天下のカバーニャ要塞、死んでいるかのように寝そべっている野良犬にぜか目を奪われた。薄汚れて手厚く扱われている様子はないが、なぜか気高い印象を受けた。
この一節を読んだ時、僕はハッとさせられました。自由と貧しさを選んだ野良犬の姿に、若林さんは、現代社会で生きる僕たちが忘れかけている大切な何かを見出したのかもしれません。
旅は人生の鏡!若林正恭が旅先で見つけた自分自身
この本は、単なる旅行記ではありません。若林さんが旅を通して、自分自身と向き合い、人生や社会について深く考え抜いた軌跡が刻まれています。
読後感は、爽快感と同時に、どこかほろ苦いものがありました。それはきっと、僕自身の生き方にも通じる何かを感じ取ったからでしょう。
生きづらさを抱えるすべての人へ。若林正恭が贈る、心の処方箋。
この本は、旅好きの方にはもちろん、日常にモヤモヤを抱えている人、人生の意味を見失いそうになっている人、そして、自分自身の生き方を変えたいと思っているすべての人におすすめしたい一冊です。
きっと、若林さんの言葉が、皆さんの心に深く響くはずです。
あなたの人生もきっと変わる!「血の通った関係と没頭」の力
僕自身、この本に出会ってから、人生の見方が大きく変わりました。
次はどこの国に行きたいですか?
以前はよく聞かれた質問ですが、今はもう行きたい国は思い浮かびません。没頭 を味わいに行きたい場所はありますが、この国と比較してみたい国は、もう思いつかなくなっていました。それは、探していたものが見つかった手応えがあるからです。 血が通った関係と没頭 が最高のなのは、キューバもモンゴルもアイスランドもコロナ後の東京も多分一緒だから。
若林さんの言葉は、僕に、自分が本当に大切なものは何かを思い出させてくれました。 皆さんもぜひ、この本を手に取って、若林さんの旅の世界を感じてみてください。