どんでん返しの帝王が仕掛ける、戦慄のサイコ・ホラー
この記事を書いたライター
田中 真佐夫 (たなか まさお)
年齢: 55歳 職業: 大学教授(文学部)
どんでん返しの帝王が仕掛ける、戦慄のサイコ・ホラー
『殺戮にいたる病』は、我孫子武丸氏による1992年発表の長編推理小説です。講談社ノベルスより刊行されました。猟奇殺人鬼とその母親の異常な関係を描いたサイコ・ホラーであり、どんでん返しの帝王とも呼ばれる我孫子氏の代表作の一つです。
読了後、あなたの常識は崩壊する…!
この作品は、猟奇殺人鬼・蒲生稔と、彼を溺愛する母親との歪んだ関係性を描いたサイコホラーです。母親の歪んだ愛情が、息子の異常性を助長させていく様子は、まさに「病」と呼ぶにふさわしいものでした。
読み進めるうちに、まるで自分が得体のしれない深い闇に引きずり込まれていくような、そんな感覚を覚えました。そして、ラストのどんでん返しには、ただただ驚愕するばかりでした。
緻密に張り巡らされた伏線、そして驚愕のラスト
この作品の魅力は、何と言ってもその緻密な構成と、読者を最後まで飽きさせないストーリー展開です。特に、母と息子の異常な関係性を描いた描写は、背筋が凍るほどの迫力がありました。また、一見すると無関係に思えるエピソードが、終盤で一つに収束していく展開も見事です。
そして、何と言ってもこの作品の最大の魅力は、ラストのどんでん返しです。読者は、それまで信じていた世界を根底から覆されるような衝撃を受けることでしょう。
母親の歪んだ愛情が生み出した、戦慄の言葉
「本によると、四歳までは、男女見分けがつかないんだって。」
これは、主人公である蒲生稔の母親が、幼い頃の稔に対して言った言葉です。この一言が、物語全体の不穏な雰囲気を象徴しているように感じました。
こんな人に読んでほしい!
この作品は、本格ミステリーや、どんでん返し系の作品が好きな方には特におすすめです。また、人間の心の闇に興味がある方にも、ぜひ読んでいただきたい一冊です。ただし、猟奇的な描写も多いため、苦手な方は注意が必要です。
読了後、あなたは必ずもう一度読み返したくなる
『殺戮にいたる病』は、読者を恐怖のどん底に突き落とすような、強烈な作品です。しかし、その一方で、人間の心の奥底に潜む闇を、見事に描き出しています。この作品は、単なるホラー小説の枠を超え、読者に深い洞察と、鋭い問題提起を与えてくれるでしょう。
このレビューを読んで、少しでも興味を持たれた方は、ぜひ本書を手に取ってみてください。そして、我孫子武丸氏が仕掛ける巧妙な罠に、心ゆくまで翻弄されてみてはいかがでしょうか。