知的好奇心を刺激する傑作ミステリー
この記事を書いたライター
小林 一郎 (こばやし いちろう)
年齢: 68歳 職業: 定年退職者
六本木の一室で起きた、密室殺人の謎
この本は2004年に出版されたミステリー小説で、「防犯探偵・榎本」シリーズの第一作目だ。舞台は東京・六本木にあるオフィスビル。年末の休日、社長が密室状態の社長室で撲殺される事件が発生する。容疑者は、唯一カメラに映らずに社長室へ出入りできた専務。だが、専務は犯行を否認し、事件は謎に包まれるんだ。
予想外の犯人とトリックに、知的好奇心が刺激される!
事件を担当することになった弁護士の青砥純子は、先輩弁護士の紹介で、防犯コンサルタントの榎本径に調査を依頼する。榎本は、鋭い観察眼と論理的な思考、そして驚くべき行動力で、密室の謎を解き明かしていくんだが、その過程が実にスリリングで、読んでいてワクワクするね。
「Forewarned is forearmed」 緻密な調査と大胆な推理が織りなす、知的なゲーム
特に感心したのは、榎本の徹底した調査ぶりだ。「Forewarned is forearmed」(あらかじめ知るは備えなり)という彼のモットーの通り、現場をくまなく調べ、関係者への聞き込みを丹念に行い、膨大な情報をかき集めて分析する。その上で、大胆な仮説を立て、緻密な論理で検証していく。まるで、チェスの名人が一手一手を熟慮 しながら、勝利へと駒を進めていくような、知的な興奮を味わえるんだよ。
日常に潜む盲点。あなたは犯人のトリックを見破れるか?
印象に残った場面がある。榎本が青砥に、こう告げるんだ。「密室を解く鍵は、フロア全体と監視カメラの方にあるのかも しれません」。一見すると何の変哲もない場所にも、犯人が残したヒントが隠されている。それを、見つけるか見逃すかで、真実にたどり着けるかどうかが決まるんだ。まさに、この言葉こそが、この小説全体を貫くテーマと言えるだろうね。
ミステリー好き必読! 読後感爽快、傑作ミステリー!
この本は、ミステリー好きはもちろん、論理的な思考を鍛えたい人、あるいは防犯に興味がある人にもおすすめだ。緻密なプロットと、個性的な登場人物、そして驚きのトリック。読後には、爽快感と深い余韻が味わえる、傑作ミステリーだと言 わざるを得ないね。